創造する勇気
おっと。こんな大きなステージに立ったことはないので、落ちないといいのですが。。。
そんなことになったら、勇気を示すことにならないですからね。
本日は、ありがとうございます………

今のおかしかったですか?
おかしかったですよね。
皆さま方は、とてもいい観客ですね。
今日は、お招きいただきありがとうございます。
そして、皆さま、今日はお越しくださいまして、ありがとうございます。
今日お話ししようと思っていることは、ある秘密の言葉についてです。
それは、禁句ともいえる言葉です。
でも、禁句だなどと思わないでください。
偉大な言葉だと思ってください。
私が今日お話ししようと思っているのは、「勇気」についてです。
私は、今までずっと、教師やコンサルタントなど、人と関わる仕事をしてきました。
変化と創造、リーダーシップ、経営など、いろいろな科目を教えてきましたが、2年ほど前から、こんなことを考えるようになりました。
それは、私が教えようとしていることは、実のところ、一体何なのかということです。
私が実際に教えようとしてきたこと、それは勇気についてでした。
私が実際に教えようとしてきたことは、人生における冒険についてだったのです。
素晴らしい偉業を成し遂げること、人々の心を打つような、人々の夢をかなえるような何かをすること、そういうことについて、教えようとしてきたのです。
勇気について、白状しなければならないことがあります。
それは、私が大学院の学生だったころ、一番恐れていたのが、みんなの前で話すことだったということです。
私は、発表するのが苦手な学生でした。
だから、信じてほしいのですが、勇気が出せないというのがどんな気持ちなのか、私が一番理解しているつもりです。
2年ほど前に、私はパートナーと、ご覧のようなアートギャラリーを開くことにしました。
それには、勇気が必要でした。
なぜなら、ギャラリーの名前に、自分たちの名前を使ったからです。
ABCギャラリーなどという名前ではなく、「トビン大橋ギャラリー」と名付けたのです。
「教えることと、コンサルティングと、ギャラリーの違いは何ですか?」とよく聞かれるのですが、私は、「同じですよ」と答えます。

そうすると、みな不思議そうに、「同じとは一体どういうことですか?」と聞いてきます。
私の答えは、教師として、コンサルタントとして、またギャラリーのオーナーとして、私達がしようとしていることは、人を奮起させることだ、ということです。
私達がしようとしていることは、人の人生を変えることです。
私達のアート作品を見てもらう時、こんな風に人を喜ばせたいと考えているのです。
この方をご覧ください。
この方は、青木良太という作家のカップを買ってくれました。
私がうれしかったのは、お金が儲かったからではありません。
この人が喜んでくれたから、私もうれしかったのです。
今日そこで会った学生も、5,6年会っていませんが、いまだに、その学生の人生についてうれしいと感じるのです。
「どうしてギャラリーを始めたのですか?」と聞かれても、自分でもよくわかりません。
ただ、勇気があったのだと思います。
自分の人生で、実はそれこそ、やらなければならないことだったのだと思いますし、昔からやりたいと思っていたことだったのだと思います。
私が人にしようとしていることは、人生において勇気を持つよう励ますことでもあります。
夢を追いかけ、心の声に従う勇気です。
私達の誰にでも、創り出すことができるものがひとつあります。
それは、「評判」です。
人に自分をどう見てほしいか、どうやって見られたいのか、そして、自分自身をどう見たいのか。
こんなことをやるつもりだ、というだけでは、評判を築くことはできません。
実行しなければ、ダメです。
こんなことをしなければならない、とか、こんなことをしてみたいんだ、などと言う人はたくさんいます。
そんなときは、「やってみたら?」「やってみればいいんじゃないの?」と答えます。
というのは、私がつきあいたいと思うのは、実際に何かを実行している人だからです。
何かをやるつもりの人ではありません。
皆さんは、成功はこんな具合だと思うでしょう。
「わあ!上手く行った! ちょろいもんだよな?」
うそばっかり! そんなに簡単には行くわけがありません。
成功って、実際にはこんな具合でしょう。
恋愛と一緒です。

恋愛って、こんな具合ですか?
まさか。恋愛とは、こんな具合ですよね。
あ、失礼、こういう場合もあれば、こういう場合もありますよね。
ビジネスも同じです。
成功への道のりは、実はぐちゃぐちゃです。
特に真ん中がぐちゃぐちゃです。
だから、もしもイチかバチか賭けをしたいと思うのなら、本当に冒険をしたいと思うのなら、実際に勇気を示したいと思うのなら、いいですか、ダルマのようにならなければなりません。
モグラたたきっていうゲームがありますよね。
もぐらが穴から次々と頭を出してきて、叩いて行くゲームです。
6回叩かれても、7回頭を出してきます。
七転び八起きということわざがありますが、そのようにしないといけないのです。
この方をご覧ください。ジェレミー・リンという人です。
バスケットボールファンならずとも有名ですが、この人はハーバード大学の卒業生に何ができるのか、アジア系アメリカ人に何ができるのかについて、人々が持つイメージを変えた人なのです。
真に勇気のある人です。ガッツがある人です。
皆さんにだって、私にだって、できるはず、
私はいつもそう言っています。
今日ここに来る時にも、昔の学生に出会って、話をしました。
私の仕事柄なのか、転職したい、と相談されました。
もっと意味のあることがしたいという相談もあります。
他の人たちと連絡が取りたいという相談もあります。
何かを実際にやっている人と会いたいという相談もあります。
結婚しようと思っている、という相談までありました。
なんでそんなことまで相談されるのかわかりませんが、私は、そういう時は、「やってみたら?」と答えます。
結婚については、相手の人に会ったことがないので、良くわかりませんが。
やってみたらいいじゃないですか。
何か違うことをやってみたらいいじゃないですか。
夢だったことを、やってみたらいいじゃないですか?
非営利団体に就職したいと思っている、と相談もありました。
やってみたらいいじゃないですか? そうでしょう?
いつも私はそういう風に答えています。
そうすると、決まってみんなこう言います。
「でも不安です、不安です、不安なんです~!…..」
失礼しました。
私だって不安です。
みんな不安なのです。
誰もがみんな不安を抱えています。
みんなです。
でも、いいですか、そんなとき私は学生にこう言います。
バスケットボールは得意ではありませんが、不安なんて、こんな風に丸めて、ゴミ箱に放り込んでしまえ、と。
いいですか? そんなものは捨ててしまえばいいのです。
不安と仲良くなって、うまくつきあっていけばいいのです。
私が発表が苦手だと言うことは、すでにお話しました。
信じられないかもしれませんが、私は、不安で不安で仕方なくなることが、しょっちゅうです。
でも、なるべく不安とうまくつきあうようにしています。
ひとまず、横に置いておくのです。
勇気を示したいと思っているならば、もうひとつ、別の手があります。
今日は、目の前に私の生徒が来ているので、緊張しますね。
その別の手とは、できる限り最高の人間を見つける、ということです。
私は、今年、慶應大学を定年退職することになっています。
一人の友人とともにやろうとしている新しいビジネス案について、授業をしたことがあります。
その友人が私に何て言ったと思いますか?
彼は、「やれよ!」と言いました。
やれよ、やれよ、失うものは何もないじゃないか、と。
彼の言ったことは、本当に正解でした。
出来る限り最高の人間を見つけましょう。
私のかかりつけの歯医者さんが、今日ここにきてくださっていますが、あなた方も、できるだけ最高の歯医者さんを見つけましょう。
出来るだけ最高のお医者さんを見つけましょう。
あなたに賛成してくれる人を見つけましょう。
反対する人ではダメです。
どんな仕事においても、「無理です。そんなことはできません。規則ですから」と言う人は必ずいます。
でも、どんな仕事をしていようとも、自分に賛成してくれる人を見つけることが大切なのです。
時間があるかどうかわからないのですが、もう一枚お見せしたいスライドがあります。
片方に「慎重」、もう片方に「勇気」と書いてあります。
ここでお伝えしたいことは、「慎重」から「勇気」へ動くためには、何が必要かということです。
バンジー・ジャンプみたいに、一気に飛ばなくても構いません。
少しずつ飛んで動いて行けばいいのです。
時には、背中の後押しが必要なこともあります。
本日は、皆さんの前でお話することができて、本当にうれしいです。
皆さんの背中の後押しをすることができたでしょうか?
なぜなら、勇気を出せば、世界はもっともっと快適なところになるからです。
最後にもう一言、言わせてください。
それは、私自身へのアドバイスでもあり、皆さんへのアドバイスでもあります。
どんなことをするにしても、大物になって、人生を多いに楽しみましょう。
本日は、ありがとうございました。