暮らしのキュレーターとしての六か条
私の友人Jが、先日訪ねてきて、耳慣れないことを言いました。
「君の暮らしぶりは、キュレーターのようだね」と。
私は、自分や他人の生活をそういう風に考えたことはありませんでしたが、その考え方がたいそう気に入りました。友人の訪問以来、キュレーターという考え方は、自分の生活を考える上で素晴らしい方法なのではないかと思い続けています。
美術館や画廊の館長(キュレーター)が、展示するのに最適な作品を選定するのと同じように、私たちは皆、自分の生活に展示するのに最適な品、場所、人を選ぶことができるのです。
美術館や画廊の館長は、決してガラクタを選びません。貴方達もガラクタは選ぶべきではないのです。
自分の暮らしに関わる事は、何であっても、最高のものを選ぶべきなのです。高価である必要はありません。実際のところ、ガラクタをたくさん買い込むよりも安上がりかもしれないのです。
貴方も、自分の暮らしのキュレーターになりたいですか? それならぜひ、次の六か条を試してみてください。私にとっても、生活を管理する上で、重要な要素となっているものです。
第一条 最高の食べ物を食べましょう。
ジャンクフードはダメです。ということは、ポテトチップスもダメですし、ファーストフードもダメということです。肉類を減らしましょう。アメリカの作家、マイケル・ポラン氏はこう書いています。「腹八分目を心がけ、野菜中心の食生活を送りましょう」と。
私自身、ソフトドリンクやマクドナルドは封印しました。ステーキを食べると頭痛がします。自分の体に悪いとわかっているものを、どうしてわざわざ食べるのでしょう? 最近、健康診断を受けに行ったのですが、コレステロール値が2か月で20ポイントも下がりました。うれしかったですね。
また、食べ物がどこからやってくるのかも気にかけるべきです。私は、フォアグラやフカヒレスープは食べないことにしています。自分のために、がちょうが肥満にさせられるなんて嫌ですし、サメもヒレを切り取られて海に投げ戻されるなんて、我慢できないからです。ウォールマートでも買い物はしないようにしています。ウォールマートの従業員の扱いはひどいと思うので、ウォールマートには一銭たりとも渡したくありません。
第二条 お気に入りの場所に住みましょう。
心に潤いを与えてくれる町に住むことです。行きたいと思うイベントや場所がある町に住みましょう。大学院時代の友人は非常に保守的な町に住んで居て、二十年以上もの間、引っ越したいと思い続けていました。最終的には引っ越したのですが、休暇だけが生きがいの生活を二十年間も我慢し続けたのです。
確かに、インターネットの発達した今日では、コンピュータがあればほとんど何でも見つけることができます。でも、やはり本物とは違います。
交響曲が好きなら、コンサートホールが近場にあるところに住みましょう。私は映画が好きなのですが、うれしいことに今の家から徒歩圏内に映画館が2軒あります。
家に帰るのが楽しみになるようなアパートや家を選びましょう。ホテルの部屋にも同じことが言えます。節約したいからといって、たとえ2日間でもしけたホテルに泊まる必要はありません。
第三条 貴方の家を自分の城にしましょう。
ガラクタや散らかった物を処分しましょう。座り心地の良いソファを置いてください。ダイニングテーブルに物を積み上げるのもダメです。そして、最高の食器で食べるべきなのは、家の主である貴方です。お客さま用にしまっておく必要はありません。紙皿など、もっての外です。
家具はそんなにたくさんは必要ありませんが、自分のライフスタイルに合った家具を選ぶべきです。我が家では、バルコニーがお気に入りの場所で、食事をしたりおしゃべりをしたり、犬と遊んだり、かなりの時間をそこで過ごします。バルコニーに置いている屋外用の家具が、大活躍しています。
壁には、アートを飾りましょう。美術館の館長の話をしたところだから、画廊のオーナーだから言っている訳ではありませんよ。私がこう言うのは、アートは生活の質を向上させてくれるものだと固く信じているからです。アートは、創造力を掻き立て、幸福感を増してくれるものなのです。家に帰れば、アートが迎えてくれる生活というのは、気分の良いものです。
植物もいいですよ。私はサボテンが大好きで、バルコニーにたくさん置いています。
第四条 自分に似合う服を選びましょう。
カラフルで、気分が良くなるような服を選びましょう。
タンスの肥やしになっているような絶対に着ない服や着られなくなってしまった服はさっさと処分してしまいましょう。気に入った所に引っ越すたびに、要らない物を捨てるか、人にあげるか、時間があればネットオークションで売ってしまいましょう。
きつすぎる服やゆるゆるゆるの服など、合わない服を着る必要はありませんし、足が痛くなるような靴や、磨いたことのない靴を履く必要もありません。
身なりが整うと、気分も良いものです。タンスの中を整理しましょう。センスがないのなら、友達に助けてもらいましょう。私自身、ファッションセンスはあまりない方なので、Hにアドバイスをもらっています。
私と同じぐらいの年格好で、お腹のボタンがはち切れそうなシャツを着ていたり、ズボンがずり落ちてお尻の割れ目が見えてしまっているような人を見かけたら、私はなるべく避けて通るようにしています。
第五条 嫌な人とは縁を切りましょう。
好きでもない人や信頼できない人、また貴方のことを評価してくれない人とつきあわなければいけない理由はありません。自分にとって最高な人とつきあいましょう。嫌な人と縁を切れば、良い人が現れます。しばらく時間はかかるかもしれませんし、一気にばっさりと切り捨ててしまう必要はありませんが、心から一緒にいたいと思う人たちとつきあうべきなのです。それはつまり、イエスと言う時は言う、でももっと大事なことは、ノーと言うべき時はきっぱりノーと言う、ということを意味します。
私が本の出版契約が取れたのは、最高の編集者と最高のエージェントを見つけたことが大きかったと思います。かつては、私の著書をあまり気に入っていない編集者と仕事をしていました。一体、なぜ彼女と仕事してたのか、今となっては不思議です。 彼女と縁を切った途端に、良い編集者が現れました。
親戚にも友達にも、同じことが言えます。好きだと思えない人と一緒に時間を過ごすことはありません。感謝祭やクリスマスの時でさえ、です。
人当りは完璧で知的ではあるけれども、信頼できない友人や過去に囚われすぎている友人とは疎遠にすることにしました。昔の恋人の写真を取り出して、まるで今でもつきあっているかのように見せびらかす人もいましたが、その人は、前に進むことができずにグズグズしていたので、結局、私から去ることにしました。
私たちの画廊の顧客にも同じことが言えます。顧客が私たちを選ぶように、実は私たちも顧客を選んでいるのです。私たちの仕事を十分に評価してくれる人に買ってほしいと思っているのです。
第六条 好きな仕事をしましょう。
嫌いな仕事で苦しむ必要はありません。時間は限られているのですから、好きな仕事をして過ごすようにしましょう。確かに、お金を稼がなければなりません。
しかし、自分の仕事やそのやり方が、エネルギーを奪い、消耗させてしまうようなら、そろそろ変え時なのではないでしょうか。ここ東京で出会う人たちは、会議でスケジュールが埋め尽くされています。トイレに行く時間もないのではないかとびっくりします。彼らはいつも忙しくて、彼らの行動を見ていると、まるで変える力も残ってないかのようです。
読書が好きなら、本を読んでください。貴方が好きなこと、喜びをもたらしてくれることなら何でもいいからやってください。もちろん、嫌でもやらなければいけないこともあるでしょう。歯医者に行ったり、食器を洗ったり、アイロンをかけたりというように。でも、そういう事はすべて、自分の面倒を見ることだと思えば、楽しく思えるようになるものです。
以上の六か条をぜひ試してみてください。始めるのは今日です。人から、最近どうしてる?と訊かれたら、自分の生活の管理をしている、と言ってください。
最高の人たちなら、その意味を理解してくれるでしょう。
もし、それはどういうことか?と訊かれたら、「暮らしてる、ってことですよ」」と答えればいいのです。
本当の意味での暮らしです。
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